理想の金管五重奏サウンド
ここ10年くらい、日本ではアンサンブル・コンテストの規約の関係もあって、金管八重奏が盛んで新作もたくさん作曲されていますが、やはり最もスタンダードなのは、Tp×2・Hr×1・Tb×1・Tu×1の金管五重奏ではないでしょうか。
1970年代にスタートした『Empire Brass(エンパイア・ブラス)』『Canedian Brass(カナディアン・ブラス)』という、アメリカの二大クインテットが開拓し普及させた多くのレパートリーは、今でも脈々と受け継がれ演奏されています。
その後世界中でたくさんの金管五重奏団が生まれ、その技術や表現力は益々向上していくばかりですが、中でも僕が個人的に大好きなのは、『Stockholm Chamber Brass(ストックホルム・チェンバー・ブラス)』という五重奏団です。
このクインテットが一躍その名を轟かせたのは、名盤『Sounds of St.Petersburg』のリリースがきっかけで、エヴァルドの遺した4曲の金管五重奏曲をいずれも極上の演奏で収録したこのアルバムは、今でも金管五重奏のバイブルとして世界中で愛されています。
特にその美しく芳醇なサウンドと繊細なアゴーギグは、室内楽における金管楽器の歴史を変えたといっても過言ではありません。
そんな彼らの演奏を、その頃とは少しだけメンバーが変わっているのですが、YouTubeで聴けます&見られます(便利な時代になりました)。
艶のある、上品な華麗さ。
僕にとって、音色・バランスともこれぞまさに理想の金管五重奏サウンドです。
新しいアルバム『Then - Renaissance airs and dances』も要注目ですね。
Tuba由良