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Brass Ensemble Saturday / ブラス・アンサンブル・サタデー

Brass Ensemble Saturday / ブラス・アンサンブル・サタデー

ユーフォニアム担当の石田です。

私の使用する楽器(ヤマハYEP-642S Neo、以下642と略します)を修理・調整に出していたことは以前に書きましたが、修理・調整の間は別のユーフォを使っていました。そして2週間経って642が戻ってきて吹いてみたら、改めてこの楽器の持つ特徴がわかりました。では次に紹介してみたいと思います。

1、音量の豊かさ
642はとにかく大きな音が出せます。私が初めてこの楽器を楽器屋さんで試奏させてもらったときにもそう思いました。息を吹き込んだら、それが全部音になるという感じです。ほかのメーカーのユーフォだと、一定量以上の息を吹き込んでも音にならない限界があるのですが、642の場合、相当息を吹き込んでも音量の変化として表れます。息を入れる量に対して音になる効率が良い、つまり「燃費が良い」ユーフォと言えるかもしれません。全音域にわたって大きな音が出せますが、低音域が特によく鳴るのが他のメーカーのユーフォにはない特徴です。

2、音程の正しさ
ヤマハの楽器の特徴のひとつと言えると思いますが、642も非常に音程の良い楽器だと思います。私が持っている別のユーフォでは特定の音がすごく高かったり、低かったりという音程バランスの悪さがあるのですが、642の場合はどの音も、平均して良い音程です。ユーフォという楽器の特性として、上のE♭、E、Fが高くなる癖は642にもありますが、とんでもなく高くなるわけでなく、必要に応じて替え指を使うことで補正できます。私の場合、ブラスアンサンブルと吹奏楽で吹くことが多く、音程の良さはハーモニーを作る上で、非常に重要なんです。ですので、642の音程の良さに私はいつも助けてもらっています。

3、音色の素直さ
ユーフォの音色については好みがあって、どのメーカーのユーフォの音色が優れているということはできないと思います。また奏法によっても音色は大きく変わります。642の持つ音色は非常に柔らかいということはないと思いますし、暗いわけでもない。どちらかというと、クリアで明るい音色ではないか、と私は思っています。他の楽器と合わせやすい素直な音色と言えるかもしれません。もちろん、テクニックで柔らかくも暗くも音色を変えることは可能なはずです(私にはそこまでのテクニックはないのですが)。

4、音の立ち上がり(反応)と息の抵抗
642は息を入れた時の反応が良いと思います。ですので、ラフにタンギングをすると強くなりすぎるのではないかと思っています。丁寧なタンギングを心がける必要があります。そして、息を吹き込んだ際の抵抗はけっこうあります。しかし苦痛になるほどの抵抗ではなく、小さな音で長いロングトーンをするときも音が揺れたりすることがなくて、私は気に入っています。

5、使い勝手
ユーフォの使い勝手の良さとは、右手はハンドルに親指をかけて、速く確実に運指が回り、左手はしっかりと楽器を抱えられつつ、4番ピストンを問題なく操作できることになりますが、642はそのどちらも快適です。右手のハンドルの形状と位置は良く、左手で抱える部分についても3番抜差し管の形状が工夫してあるので、持ちやすくなっています。ただし642は、楽器そのものの重量がしっかりあり、他のメーカーのユーフォよりも重いかもしれません。

6、ピストンと抜差し管
642のピストンは非常にスムーズに動きます。ただ、どのメーカーのユーフォも高級品であれば、ピストンでトラブルを起こすことはまずないと思うので、642だけがとりわけ良いということはないはずです。次に、抜差し管の精度について、642は非常に密着度が高いのではないかと思います。他のメーカーのユーフォでは、抜差し管の出し入れがもうすこしゆるい気がするのですが、642はぴっちり作ってあります。これは機密性が高く保たれているということではないでしょうか。642には主管トリガーはついていませんが、トリガーを使わなくても音程が悪くないので、ついていないのではないかと考えています。

以上が私が考える642の特徴です。あくまで私の個人的な感想なので、「そんなことはない!」を思う方もいらっしゃるかもしれません。642の特徴を知りたい方、購入を考えている方の参考になれば幸いです。

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