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Brass Ensemble Saturday / ブラス・アンサンブル・サタデー

Brass Ensemble Saturday / ブラス・アンサンブル・サタデー

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6/10(日) 13:00-17:00@Casa Maasa Música
 13:00 開場
 13:15 基礎合奏(Tu由良)
 13:30 アブデラザール(Tp稲田さん)
 14:40 新曲試奏
 15:40 アブデラザール(西川さん)
 16:50 終了


テューバの由良です。

12/15に開催予定の第11回定期演奏会に向けて、
練習や曲選びなど、徐々に準備がスタートしています。
6/10は、第11回定期でメインの1曲としてお届けする予定の、
 アブデラザール組曲
 作曲:ヘンリー・パーセル、編曲:ロジャー・ハーヴェイ
を中心に練習が行われました。

ヘンリー・パーセル(1659年 - 1695年)は、
イギリスのモーツァルトとも呼ばれた、バロック時代を代表する作曲家のひとりで、
36年の生涯においておよそ400曲以上もの作品を遺しています。
ちなみに36歳で亡くなったというと、現代からすれば早すぎる死のように感じますが、
17世紀ごろのイギリス人の平均寿命は38歳だったそうですので、
決して早世というわけではなかったのかもしれません。

そのパーセルの主要な作品のひとつであるこのアブデラザール組曲は、
イギリス初の女流劇作家であるアフラ・ベーン(1640年 - 1689年)の
劇作品『アブデラザール(ムーア人の復讐)』に付けられた全9曲から成る音楽です。

アブデラザール(Abdelazer)とは、この劇の主人公であるムーア人女性の名前。
ムーア人とは、ヨーロッパ人が北西アフリカに住むイスラム教徒をさした呼称であり、
彼女はイスラム教国の王女で、スペインはかつてこのムーア人が支配していました。
ちなみに、有名なアルハンブラ宮殿はその時代(9世紀~15世紀ごろ)を象徴する遺跡です。

アフリカ北西部・フェスの君主であった父をスペイン国王によって殺され、幼くしてその庇護下に入ったアブデラザールは、 やがて策略をめぐらせてスペイン王家に対する復讐を果たそうとします。
彼女は次々と邪魔者を排除し、ついには自身がスペイン国王の座に就く寸前のところまで至りますが、最後の最後で腹心の部下に裏切られあと少しのところで復讐は遂げられず……、というあらすじです。

曲全体はシンプルな4声から成る音楽を、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルおよびロンドン・ブラスのトロンボーン奏者であったハーヴェイが金管10重奏の荘厳なサウンドにアレンジしています。

基本的には、各楽章ともポリフォニックにそれぞれの声部が独立して動きますが、たとえば序曲の冒頭をはじめ随所にホモフォニー的要素が見られ、このあとの時代、つまり18世紀の古典派音楽以降ホモフォニーが台頭してゆくことをどこか予感させるようです。

ちなみに、第2曲目の『ロンド』は、ベンジャミン・ブリテンの『青少年のための管弦楽入門(パーセルの主題による変奏曲とフーガ)』の主題として親しまれており、どこかでこのメロディを耳にした事がある方は多いのではないでしょうか。
下記YouTubeより、洗足学園の学生たちによる演奏でお楽しみください。


https://youtu.be/MXVqisH05G0

また私個人としては、家族ぐるみで親交があった先輩作曲家マシュー・ロックによる『国王陛下のためのコルネットとサックバットのための音楽』や『小コンソートのための組曲』などからの影響を感じることがあり、直管楽器系のアンサンブルによるシンプルで透明な響きを、この曲でもところどころ表現できたら、と。

12月の演奏会まで半年間、あれやこれやと考えながら、コツコツ音楽をつくっていきたいと思います。

Tuba 由良
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